森の守人 第一章
□正守と限
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「今日の体育、バスケだっけ?」
「多分ね〜」
アヤノ、キョーコ、百合奈と共に行動していた美守。だが、一人だけずっと考え込んでいた。
「(美守ちゃん、どうしたんだろ…ってひぃっ!!)」
そんな美守をユリが心配していると、前から志々尾が歩いてきた。
とっさに、ユリは美守の後ろに隠れた。
「ユリちゃん?…あ…」
ユリの行動で美守も志々尾の存在に気付き、戸惑ってしまったが、思わず目を逸らしてしまった。
「…」
志々尾はチラッと見たものの、そのまま気にせずふいっと通り過ぎた。
「(こ、こわっ!やっぱり危ない人だ!)」
ユリは美守に声をかけようとしたが、かけられなかった。
美守の表情が、あまりに悲しそうに見えてしまったのだ。
「二人とも早くしなさいよ!!」
「おいてくよ〜?」
「…今行く!」
何事もないかのように振る舞う美守に、ユリは心が痛んだ。
「ユリちゃん?早く行かないと置いてかれるよ」
「え!?う、うんっ」
ユリは慌てて美守の後を追った。
「(美守ちゃん…大丈夫かなぁ…)」
大切な友達なのだから、もっと相談をしてほしい、頼ってほしい。
ユリはそう思った。
「(あまり抱え込まないでよ…美守ちゃん)」
ユリは胸を抑えて思っていた。