森の守人 第一章

□大首車
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「斑尾…ホントに校舎内にいるの…?」


〈グズグズしてるとまた志々尾に持ってかれるよ〉


「でもちょっと…」



美守は正直、夜の校舎は苦手だった。



「お化けでそう…」


〈あんたいっつも見てるじゃないのさ〉


「夜見るのは妖だし…昼と夜じゃ違うの!」



そう言う美守に斑尾は呆れて言葉も出なくなってしまった。

その時、



「!?」


《キョキョキョキョキョキョキョキョキョ!!!》



奇妙な声を上げながらこっちにむかってくるのを感じて、美守は自分達の周りに結界をはった。

しかし…



《キョキョキョキョ!》



嘲笑うかのように妖が結界を破って通り過ぎた。



「なっ…(結界が…しかもなんか私の傍だけが床が深くえぐれてる…?)」



そんな事を考えていると、妖が引き返してきた。



〈美守!引き返してくるよ!〉


「っ!」



美守はとっさに教室へ逃げ込んだ。



「なんなの一体!?」



そう言ったとき、ハッと気づいた。
妖が後ろからゆっくりと入ってきたのだ。



「(タイヤ…?)」


《一つ…おたずねしたいンですけどねィ…》



そこにいたのは



《結界師てェのは…あんたかィィ?》



巨大な顔が真ん中についた、車輪のような妖だった。


「…だったら?(なんか不気味な妖…だなぁ…)」


《キョ》



大首車は物凄い勢いで回転し、暴れだした。



「学校の備品が…」



指を構えて止めようとするものの、なかなか方囲すらもできない。



「あっ!」



そうしている間に妖は教室から出ていき、美守も結界をはりながら教室から出た。



「うぅ〜…狭くて戦いずらいよ…」



ガシャァァンッ



「な、何!?」



慌てて振り向くと、志々尾が窓を破って入ってきたらしく、窓が割れいてる。



「し…志々尾くん…」



また片付けるもの増えてしまった(涙)
と嘆いていると、丁度出てきた妖に、志々尾の右手が変化し、振りかざした。


ガキィンッ



「(うわあ(汗))」



鋭い音に思わず顔をしかめたが、きかず、志々尾は忌々しげに舌打ちをし、妖は回転し続けている。



《あんたは…結界師ィ…じゃあないようだねィ…

じゃあ用はない。》



再び妖は回転し、志々尾はタイミングを測るかのように壁を使って飛び続けている。



「うわ…早い…目で追いつくのが精一杯だ…」


〈(追いつけるあんたも凄いじゃないのさ…)〉



呟く美守に斑尾は心の中で思った。



《あんたにゃ用はないと、言ってるだろゥ?》
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