森の守人 第一章

□最後の称賛
1ページ/3ページ



美守はいつに増してもボーッとしていた。



「墨村…墨村、三時間目始まるぞ。」


「へ?あ、ごめん市ヶ谷君…」


「いや…(最近ボーッとしてるけど…大丈夫なんだろうか?)」



市ヶ谷は、様子のおかしい美守を心配していた。



「礼!」


「…!?」



美守は黒須の肩に黒猫が乗っているのが見えた。



「(わぁ可愛い…じゃなくって!!皆騒がないと思ったら…霊体だよね!?まさか先生に取り憑いて…)」

「…どうした、墨村」


「え!?あっ…す、すみませんっ!!」



すでに号令は終わっており、美守は顔を赤くしながら座った。



「(うぅ…でも、あの猫ちゃん完全に先生に取り憑いてるみたい…早く学校から出た方がいいんだけど…
人に憑いてる霊はなかなか引き剥がせないし…

だからって成仏させるのもやっかいだし…)」



美守はどうしようか悩みながら、とりあえず授業が終わるのを待った。












「く、黒須先生!」


「ん?」


「あ、あの…(猫を引き剥がすには先生に対する執着を軽くしたいけど…理由どうやって聞こう…)」


「墨村、一体どうした?質問でもあるのか?」


「えっと…じ、実は今度家で猫を飼おうと思ってて、実際猫を飼うのってどうなのかなって…」



苦しい言い方だと思いつつ、それしか浮かばなかったためとりあえず聞いた。



「俺はまりもしか飼っていないぞ。大体、なんでそんな質問を俺にするんだ?

他に誰かいるだろう?」


「それは…その…(汗)」


美守は何かいい言い訳がないか考えた。
その時、


ゾクッ



「(この感じ…)」



バッと黒須の後ろを見ると志々尾が近づいてきた。
そして…

ヒュッ ガシッ

志々尾が猫に手をあげようとした瞬間、美守は寸前で両手で止めた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ