森の守人 第一章
□過去
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「俺達には、前世の…400年前の記憶がある」
最初から既に信じられなかった。
そんなことがあるのか、そう思ったが、二人の目が本当だと告げていた。
志々尾は口出しはできず、黙って聞いていた。
「400年前の俺達の名前は俺が##NAME4##、こいつがトッキーだった。」
##NAME4##とトッキー。
二人の名前はある神の名を示していたらしい。
「##NAME4##の名は火、地、日差しを意味していた」
「私のトッキーの名は…水、天、雨を司る神を意味していたの」
燃えるような緋の眼。
透き通るような蒼の眼。
まさに二人につけられるべき名前だったらしい。
「##NAME4##は国を守るために、闘う事を。トッキーはその##NAME4##を支え、国を守る事を誓った。
否…そう定められていた」
「私達の運命は、生まれた時から決まっていたの…」
生きる事も、死ぬ事も。
「俺達は、人形に過ぎなかった」
幼い頃から聞かされてきた事だった。
「「国の為に使え、国の為に生きよ。お前達は何も考えずに、ただ従ってさえいればいい」」
「!!」
それでは本当に人形じゃないか…
志々尾は唖然としていた。
「そして戦争が始まり、俺達はこう呼ばれた」
『紅蓮の焔』
『天巫女の雫』
いつの間にか呼ばれていた事で、二人は特に違和感もなかった。
「けど、敵は私達の力を恐れ、殺せないならと、仲間にこう言ったの」
『奴らは鬼だ。神の名前を名乗る、恐ろしい化け物なのだ。このままではお前達までいつか殺されるぞ。
どうだ?俺達と共に奴等を先に倒さないか?
報酬ならくれてやる』
それを聞いた志々尾は、言葉につまった。
「…っ仲間なんだろ?信じたのか!?」
「何人かは俺達を守ろうと、戦おうとしてくれた。
だがそれもわずかだ。
所詮は人間…報酬につられた奴の方が多かった」
自分達の問題に、誰かを巻き込むわけにはいかない。
そして二人は逃亡を開始したのだ。
「もう一つ、私達の眼にはかなりの値がついてたの。
殺した後でえぐりとるつもりだったんだね…」
それを知ったのは後からなんだけど。
そう言う美守は震えていた。
時人は黙って手を握りしめ、言葉を続けた。
「だから、俺達は逃げた。この眼は…絶対に渡さないと。
勝手に神にしたてあげ、勝手に殺戮人形にしたてあげた奴らなんかに…渡してたまるかってな」
時人はフッと笑っていた。
何故かは分からないが…