森の守人 第一章

□彼女のいない夜
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今夜も妖退治をする三人。しかし…



「美守、体調悪そうだな…大丈夫か?」



この日、美守はやけにぼーっとしていた。
心なしか顔が赤い。



「平気平気!私向こう行ってくるね!」


「あ、おい!」



美守は時人に構わず、斑尾と共に違う場所へ向かった。



「はぁ…」


〈いいのかい?アンタ本当は…〉


「大丈夫だって!!」



納得しないような斑尾に構わず、美守は結界をはって上へ登った。

実を言うと、美守は熱があるのだ。
微熱だが…何しろ体が弱いのだ。無理をすれば倒れる可能性もある。



「(こんなことくらいで休むわけにはいかないし)」


美守は妖がいるかを探し、プールの方に大きな妖を見つけた。



「(結構大きいけど…いけるかな?)」



美守は結界をはりながら妖に近づいた。



「結!滅!」



そして妖を滅することは出来たのだが…

クラァ



「え…?」



ドボンッ!

目眩がしたかと思うと、バランスを崩してプールに落ちてしまった。



「天結!!」



そこへ時人がつき、妖を天結すると、急いでプールに近づいた。



「美守!!」


「さっきの水音はなんだったんだ?」



志々尾も到着したが、美守が落ちた事に気づいていないらしい。



「美守が落ちた!おい美守!!」


「墨村が!?」



志々尾もプールを覗くが、上がる気配を感じない。
いよいよ二人は焦りだしていた。



「くそっ!美守!」

「雪村!?」



時人はプールに飛び込んだ。



「(美守!!)」



プールには黒い法衣を来た美守がいた。
しかし、なんの反応もしていない。

とりあえず素早く美守を引き上げた。



「雪村!墨村は!?」


「…チッ。息してねぇ…」

「!?」



心臓が凍るような感覚が志々尾を襲った。



「仕方ない…」



時人は美守の胸元を緩めて鼻をつまんだ。
そして…



「!!」


「スーッ…」



人工呼吸をはじめた。
志々尾も分かってはいたのだが、何故かモヤモヤした感情が離れなかった。










しばらくして美守は意識を取り戻したが、熱が本格的に出たのか、体に力が入らず志々尾が送るハメになった。

(時人は雪村なので志々尾に任せた)
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