森の守人 第一章
□呪力封じの魔方陣
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「まさか志々尾君が人質にとられるなんて…!」
「最もえげつねぇやり方だな…」
二人は逃げた敵を追っていた。が、ふと時人が違和感を感じた。
「(まるでどこかへ引き寄せられて…まずい!)美守止まれ!!こいつは罠だ!下手に動くと…」
「もう遅い!!」
いつの間にか、二人は四角い線の中にいた。
「チッ…やられたな」
「何これ!?」
「さて…やっとゆっくり話ができるな」
茶南が言った。
「随分悪趣味だな」
「時人…これがなんなのか分かるの?」
「一度本で読んだ。あれは呪力を封じるもの。今の俺達に結界術は使えない」
「!?」
時人は試すように敵の一人を囲もうとした。
しかし、完全に囲む前に結界は無くなった。
「さすがは天才だな」
「ハッ…こんな姑息なマネしないといけないってことは、大してすげぇ奴でもねぇってことか、それか…」
時人は茶南を見据えた。
「怖いのか…だな」
「…勘違いするなよ小僧。さっきも言ったが、我々は話し合いをしにきたんだ。
戦う理由がないから、こうしているだけでな」
茶南の目は冷たかった。
二人は背中合わせになり、相手を睨んだ。
「何だよその目。お前ら人間こそこういう時に姑息なマネをする生き物だろ」
当たらずとも遠からず、とはこの事だろうと時人は思った。
人間がこんなことをする。それは二人が一番よく分かっていることだ。
その後、凄まじい攻防戦が続いた。