森の守人 第一章
□交差する想いと願い
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屋上に志々尾君を探しに行った。
…のに、
「いない…?」
いなかった。いつもなら寝ているはずなのに…
「どこ行ったのかな?」
とりあえず教室にはいるわけがない。
…手当たり次第に捜すしかないだろう。
美守はとりあえずその場を去った。
もう一度、ここにいる志々尾を見れることを祈りながら…
「…」
志々尾は寝転がりながら空を見上げていた。
「(…仕方がない…仕方がないんだ…いつもの事だろう…)」
慣れているハズなのに、今回は違った。
「(頭領は俺が適任だと言ってくれたのに…)」
でも、それだけでは無い気がした。
「(墨村…)」
気付けば、いつだって頭の中には美守が存在していたのだ。
当たり前のように化け物じゃないと言った少女。
時人との関係も理解はしていたが、なんだか気に入らない自分がいた。
「俺は…」
カタン
「みーっけ」
まるでいたずらっ子のような顔をして、美守が現れた。
「(お前は…)」
いつもそうやって、当たり前のように俺の所に現れるんだな。
志々尾は、少しだけ心が安らいだ気がした。
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