森の守人 第一章

□イケメン登場
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〈美守!!後ろにいるよ!!〉



斑尾に言われて初めて気がついた。
振り返った時、既に手を振りかざしていて、結界をはる余裕もなくて…


ヒュッ



「え…?」



美守はその瞬間、浮遊感を覚えた。



「周りはちゃんと見るべきだな」


「志々尾君…?」



美守は、志々尾の腕の中にいた。



「結!」



声に反応すると、時人の細い結界が妖の体を貫いていた。



「時人!」


「はぁ…本当にお前は…」


時人も呆れたように、志々尾の腕の中にいる美守の頭を撫でた。



「…で、いつまでそうしてるつもりだ?」


「「…!!」」



時人に言われ、美守と志々尾は慌てふためいて離れた。



「あ、えっと、志々尾君っありがと!ごめんね?」


「いや…」



二人はお互いに顔を赤らめていた。そんな二人を、時人は複雑そうな顔をして見ていた。













〜次の日〜


「ねぇ美守!この占いみた???」



昼食で突然言い出したアヤノ。キョーコと百合奈も不思議そうに見ている。



「占い?」


「そ!よく当たるらしいよ〜。これによると美守は…突然の恋の予感!皆が憧れるあの人が迎えに来るかも!!だって〜」


「え!?凄いね美守ちゃん!!」


「…(汗)」



美守は苦笑いをした。正直、色恋話は苦手だったりするのだ。

ましてや、初恋すらした事のない美守からすれば尚更の話。


その時、突然教室が騒めいた。女子に関しては黄色い声が聞こえる。



「どうしたのかな?」



そこにいたのは、まぁいわゆるイケメンというものだろう。
最も、美守は時人がいるのであまり反応はないが…



「あれって…八王子君也!?」


「知り合いなの?アヤノちゃん」


「ユリ…知らないの?結構有名な人だよ」



ユリの疑問に、呆れたようにキョーコが言った。



「ふぅん…そうなんだ」


「知らなかった…」



美守まで一緒になるので、キョーコは苦笑いをしていた。



「やっと、見つけた」



そこへ、八王子君也が四人に近づいてきた。
そして、おもむろに美守の手をとった。



「…へ???」


「町で見たときから、忘れられなかったよ。…墨村美守さん」



八王子は美守の両手を握り、微笑んだ。
当然ながら美守は焦っていて…倒れた。



「美守!?」


「凄い…当たってるわこの占い!!」


「言ってる場合じゃないよ!!早く保健室に…」



百合奈はそこで気がついた。



「(この人…なんか変!?おかしい!!)」



百合奈は霊感があるだけ、幽霊などが見える。しかし、今回は少し違った。



「(ど、どうしよ…)」



考えているあいだに二人はいなくなった。どうやら、八王子が美守を連れていったらしい。


百合奈は驚くことしかできないのだった。
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