〜武闘神伝〜

□一章 邂逅
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時は平安。
都の置かれた京は天皇が住まう場所。
昼は人々の世界。
夜は妖の徘徊する世界。

そして京にはその妖を滅する事を生業とする者が多く住まう。

その者達の名は、陰陽師。










吉田新八。

彼もまた、陰陽師の一人である。








卯月のある晴天の日の昼過ぎ。

賑わう商店街から少し外れた道を彼は歩いていた。

商店街には入りきらないとでも言うように、道の両側に、ちらほらと店が連なっている。

近くには生えていないはずの桜の花弁が一枚、ヒラリと目の前を通り過ぎ、どこから飛ばされてきたのだろうかと周りを見渡していた時、後ろから声が聞こえた。


「危ないっ!!」


その声に振り向くと、間近に迫った牛車。
しかもその牛車を引く牛が暴れている。

先程の声は、その者の近くにいた者が牛車にはねられかけたのだ。

その牛車は今、自分の目の前。
避けなければ、そう思うのに、足が根を張ったように動かない。

















嗚呼、轢かれる。























そう思い、諦めかけ、目をつぶった瞬間。












体が宙に浮いた。












 
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