企画
□わるいこはだぁれ
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橙色に染まる空。
遠くで鳴く鴉の群れ。
藁葺き屋根の家々。
そして、それは遠い昔に見ていた景色だ。
夢か何かかか、と疑ってみたが、愛刀を撫でればいつもと同じが感触が伝わった。
何故、などと言うことを言うつもりは無いが、この状況に陥った理由など皆目見当もつかない。
自分には到底似合わぬこの景色。
あの頃には輝いて見えたはずなのに、もう今の自分にはくたびれた田舎にしか見えないのは何故だろう。
考えてたどり着いた結論。
ここには先生がいないからだ。
あの人がいなければ、故郷など、何の思い入れもありはしない。
あの人がいない世界に、意味などは無いのだ。
そう思っていた。
色の無い景色にあの人が写るまでは。