Main -2-
□夕轟き(ゆうとどろき)
3ページ/12ページ
「今日は遅いのね。ごめんなさいね、惣菜少なかったでしょ」
「あ、いえ…仕方ないですよ」
ケイスケが手を振って、笑う。
夕食前になると惣菜もタイムセールになり、安くなる。
それを狙ってくる客が多いのだから、当然品薄になる。
仕事で遅くなったこんな日は、諦めるしかない。
外に出ると、辺りは暗くなりはじめていた。
「暗くなるの早いね」
「あぁ」
答えながら、頭上を見上げた。
「アキラ?」
「…一雨くるかな」
え、と上を見上げたケイスケの額に雨粒が落ちてきた。
「冷たッ! 降ってきた」
「走るぞ」
互いに頷きあって、走り出す。
家は直ぐそこだ。
大粒の雨が斑に地面を濡らしたところで、屋根のある階段へたどり着くことができた。
「よかった。間に合った」
「…あぁ」
Next >>