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□夕轟き(ゆうとどろき)
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「今日は遅いのね。ごめんなさいね、惣菜少なかったでしょ」
「あ、いえ…仕方ないですよ」


 ケイスケが手を振って、笑う。
夕食前になると惣菜もタイムセールになり、安くなる。
 それを狙ってくる客が多いのだから、当然品薄になる。
仕事で遅くなったこんな日は、諦めるしかない。


 外に出ると、辺りは暗くなりはじめていた。

「暗くなるの早いね」
「あぁ」
 答えながら、頭上を見上げた。


「アキラ?」
「…一雨くるかな」


 え、と上を見上げたケイスケの額に雨粒が落ちてきた。


「冷たッ! 降ってきた」
「走るぞ」


 互いに頷きあって、走り出す。
家は直ぐそこだ。
 大粒の雨が斑に地面を濡らしたところで、屋根のある階段へたどり着くことができた。


「よかった。間に合った」
「…あぁ」


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