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□「 」 その言葉の意味
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薄明かりに滲むその部屋には、水音が満ちていた。

「…ッ…は…」

 押し殺した吐息が、止まない水音に被さる。

「どうした。まだ足りないか」

 静かな響きに威圧を含む声が、笑い混じりに問う。
水音が一際大きく響き、そこに被さる声が悲鳴を堪えたそれに変わる。

「言いたいことがあるなら、ちゃんと話せ。言葉をなくすほど、堕ちてはいないだろう」

 こちらを無言で睨みつけてきた碧色の瞳を見据えて、目を細める。


「どうされたい」


 答えなど、期待していない。
目の前で無言のままに打ち震える男が、こちらの問いに対してまともと思える返答をしてきたことはない。


 こんなときは大抵…


「もう殺せ、か?」
「…ッ!」

 胎内に潜りこませた指を動かして、そこを抉るように引っかきながら囁く。

「ここを、こんな風にされるのが好きだろう? …痛いほどに締めつけてくるな」

 く、と喉が鳴る。
虚勢を張ったところで意味などないのに、この男はこんな状況に置かれて尚意志を曲げない。



――あんたに殺されるくらいなら、舌を噛み切って死んだ方がマシだ…



 そう、言っていたのに。
組み敷くたびに、殺せと叫んでいる。

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