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□空想い人
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 見上げた空が、何時になく綺麗に見えたから…
もっと近づきたくなったんだ。

****


 砂塵が巻き上げる中に佇んで、目を細めた。


「中将」
「…整ったか?」


 は、と片膝を地面につき項垂れる男を見下ろす。


「まだ連絡が入らない。待機していろ」


 前方を見据えたまま言い放って、歩き出した。
崩れた壁に寄り添うように設置された、テントの中に入る。


「どうだ?」
「雑音が酷いですが、音声は少しだけ拾えます」


 無線機を調整しながら、オペレーターがこちらを振り返った。


「先程、敵方になんらかの動きがあったようだと」
「わかった。連絡を取り続けろ」


 は、と頷いた彼を見てから、視線をテーブルの上に移した。
地図の上に乗せられた駒を見つめる。


 アキラがいるこの場所は、本拠地と戦地の中間地点。
だが、敵方も布陣を変えないままという訳ではないだろう。

 この場所は遠くあれば安全かもしれないが、囲まれてしまえば逃げ場はない。
いわば諸刃の剣と同様の場所にある。


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