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□絆
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噴出す紅い色彩と、それが地面に叩きつけられる音と、その者が口に出す断末魔の叫びとは…
混沌とした中に埋もれて、こんなにも色褪せて見えるものなのかと、そのときぼんやりと思った。
黄昏の色に沈んで黒く見えるそれを祓い、後ろを振り返った。
壁に凭れながら、ぼんやりと宙を見ているその人を見つける。
「シキ」
声を掛けるが、返答はない。
聞こえなかったのだろうかと思い、近づきながら声を掛けた。
「シキ」
「…なんだ」
無感情な返答。
「追手を片づけた。今日は何処に泊まる?」
紅い瞳が、暗くこちらを見つめてくる。
「血の匂いがするな」
「今、追手を切ったからだ」
「そうか…」
壁から背を離し、歩き出す。
「シキ」
「なんだ」
咄嗟にその肩を掴んだ。
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