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□未来航路
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「…ッ…?」
下腹部を貫いた痛みに、顔を歪めた。
「アキラちゃん? どうかした?」
隣に座っていたエースが、こちらを覗きこんでくる。
「いや…なんでも、ない…」
だが、どういうわけか心臓が強く脈打ちはじめて、眩暈がしてくる。
(なんだ? 気持ち悪い…)
「それでさ、そいつが傑作なのよ」
陽気な声で話し続けるエースの声が、どんどん遠くなる。
「LOST? なんか、顔色悪いよ?」
「え…そう、か?」
ふと、前に座っていたディーを見た。
その一瞬だけ、視界が暗くなる。
「…ッ」
だが、その一瞬の空白は、二人には分からなかったらしい。
高校生活最後の一年も半分以上が過ぎ、早くも周囲では進路がどうこうという話が出始めていた矢先のことだった。
(気分悪い…)
椅子を引いて立ち上がる。
「あ? どうかした?」
「悪い…外の空気吸ってくる…」
机から離れ、歩きだそうとして膝が折れた。
「アキラ…ッ!」
派手な音を立て、机が並ぶそこへと倒れ込む。
「アキラちゃん! しっかりしろって!」
咄嗟に受け身を取ったものの、床に倒れ込んだアキラは動けない。
意識が朦朧とする。
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