Main -2-
□空想い人
1ページ/6ページ
見上げた空が、何時になく綺麗に見えたから…
もっと近づきたくなったんだ。
****
「アキラ?」
歩みを止めた隣人を、不思議そうに振り返る。
「どうかした?」
「いや…」
上を見上げていた視線を、地面へと戻す。
空の青さの残像が網膜に焼き付いて、目の前がチカチカする。
「大丈夫?」
「あぁ…今日は眩しいな」
同意を求められ、そうだねと頷く。
「そうだ。あそこ、上ってみない?」
あそこ、と指し示された方を見やる。
街中にある、なんの変哲もない公園。
その中に佇む、小さなジャングルジム。
「なんで、あんなとこ…」
「ん〜…なんでだろう…多分、子供の頃の記憶…なのかなぁ…」
立ち尽くしているアキラの手を掴んで、歩き出す。
「ちょっとでも高いところに上ったらさ。その分だけ、空に近づけるじゃない」
なにが言いたいのか見当がつかなかったから、言わせるままにした。
Next >>