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□ケモノノカラダ
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いつも通り寝て、適当な時間に起きてみたら、なんだか身体がおかしなことになっていた。
まどろみの中で、なんだか両足の間がくすぐったくて身を捩ったのが最初だった。
するりと擦り抜けたその感触に、身体を震わせて飛び起きた。
「な、んだ…これ…」
視界に映ったのは、灰色にきらめく毛の塊。
否、形状からして見覚えがあるそれは、どう見ても獣の尻尾だった。
意識せずとも、なんとなく動くそれは明らかに自分の身体から発生していた。
疑問符を浮かべながら頭を掻いたところで、次なる変化に気づく。
「え…」
自分の髪の感触の中に、違和感を感じる。
目をしばたたき、慌てて立ち上がると洗面所に駆け込んだ。
「な…ッ」
鏡に映ったそれを見て、言葉を無くす。
灰色の髪に埋もれるようにしながらも、飛び出している二つの三角形。
どう見ても、これは獣の耳だ。
一体どうしてこんなことになっているのか、皆目見当がつかず、頭を抱えてその場に座り込んだ。
(夢、だよな…)
感触はリアルだが、そんなことは気にしていられない。
ひとまず、また寝てしまおうと決めて、布団に潜りこんだ。
かつてないほどの安らぎと心地よさに、すぐさま眠りに落ちる。
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