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□空想い人
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見上げた空が、何時になく綺麗に見えたから…
もっと近づきたくなったんだ。
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「アキラ、今日時間あるか」
「時間?」
洗濯物を干しながら、背後を振り返った。
「日がな一日家の中にいるのに、時間も何もないだろ」
「はは、そりゃそうだ」
近づいてこようとした源泉を、手で制す。
「待った。それ以上近づくな」
「なんでだよ」
「折角洗ったのに、煙草の臭いがつく」
はぁ、と肩を落とす。
「どっちみち、臭いはつくだろ。それに、今は吸ってないぞ」
「残ってんだよ。気づけ」
そうかぁ? と自分のシャツを嗅ぐ。
「ん〜…わかんねぇな」
「嗅覚が麻痺するほど吸ってるからだろ」
酷い言い方だな、と眉尻を下げながら諦めたようにソファに座った。
洗濯物を干し終えて、室内に戻る。
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