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□「 」 その言葉の意味 2
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「楽?」
しかし、一番最後の単語が引っかかったらしい。
言っている意味がわからない、と云わんばかりに表情を厳しくする。
「気が晴れるってことに近いかもしれない。遅かれ早かれ死ぬのは、皆知ってる。だったら、最後の瞬間を他者にどうこうされるよりも自分で幕を引きたい…そういうことなんじゃないか」
「それが命乞いをする理由か?」
答えていて、何かが違う、と自分の中でもふつふつと違和感が湧き上がってきていた。
「俺には…わからない」
紅い瞳からは既に視線を外していて、視界の中には歪んだ窓枠があるだけだ。
何故こんなことを聞いてくるのか、そのことが気になった。
シキがどんな顔をしているのか気になって、視線を正面に戻した。
「…ッ」
冷たい光を宿した白刃が、突きつけられていた。
「貴様も命乞いをするか」
威圧的ながらも柔らかい口調は、この状況にそぐわない。
陶然としていたならば、その言葉のままに従ってしまいそうだ。
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