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□夕轟き(ゆうとどろき)
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「そういえば、なんでアキラまで残ってたの?」
「俺は…時計を見てなくて」
ケイスケは首を傾げる。
「仕事が溜まってたんじゃないんだ?」
「確かに溜まってはいたが…外が明るかったから、時間の感覚がずれたんだ」
言われて、あぁ、と頷く。
「そういえば、すっかり日が長くなったよね」
汚れたタオルやらシャツやらを袋に入れて、更衣室を出る。
夕暮れの道を歩きながら、軽く伸びをしたケイスケが声を上げた。
「今日、何食べたい?」
「なんでもいい」
はぁ、とケイスケは肩を落とす。
「アキラさぁ…少しは食べ物にも関心持ったら? 身体壊すよ?」
「…お前が考えてくれてるから、いいだろ」
ぽつり、と呟く。
その言葉がよほど嬉しかったのか、眉尻を下げただらしのない顔でえへへ、と笑う。
道すがら、馴染みのスーパーに寄って食材を揃える。
「はぁ…やっぱりこの時間だと、殆ど惣菜は売り切れてるね」
「仕方ないだろ」
傷みやすい食材は殆ど毎日のように買うから、レジの店員も二人を覚えているようだ。
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