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□空想い人
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「空に近づいたら、自分が違う何かになってさ…」
遠くない、鉄製のそれにたどり着く。
はい、と鉄の感触が掌に触れた。
「飛んでいけるような気がしたんだよね」
よ、という声と共に、そこに上りはじめる。
「おい、ケイスケ」
「アキラも上ってきなよ。今この場所は、俺たちだけの空間なんだからさ」
軽い溜息と共に、アキラもそこを上りはじめた。
本来小さな子供向けであるその遊具は、身体の大きな二人にとっては大した障害も面白味もない。
あっさりと頂上まで上って、そこに腰掛けた。
「あ〜…でも、やっぱり遠いや…」
上を見上げたケイスケが、眩しさに目を細める。
「見えてるものは変わらないのに、俺たち変わっちゃったね」
その言葉に含まれるものがあまりにも重過ぎて、自然と視線が地面へと落ちた。
贖いきれない罪、背負わされた血の呪い、平和な日常の中に感じる違和感。
「アキラ」
鉄棒を掴む手を、上から握られた。
「なにして…ッ」
驚いて手を跳ね上げたところで、バランスを崩した。
「アキラッ!」
後ろにひっくり返りそうになった身体を、逞しい腕が支える。
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