せっかく地元の友達との感動の別れを済ませてやって来たと言うのに、母から貰った地図がAbout過ぎて、何処を曲がれば良いか全くわからない
なんでこんなにも大雑把なんだ…!!まさかの直線が曲線になってますよ!!だからあれ程地図書くときは定規を使えって言ったのにー…
母の書いた地図もよくわからないが、自分も他の地図を探そうと思えば有名高校なので出来なくはない。だが何故実行しようとしないのかというと…
「…認めたくないケド、俺迷った?」
そう、紅葉は極度とまではいかないが方向音痴であったのだ。地図が有ろうと無かろうとどのみち迷っていた。自分でもそれを理解しているのか、新しい地図を探そうとしないのだ
+++歩き続けること約30分後+++
「うー、ここどこだよー…。」
本人は今だ気付いていないが、いつの間にやら目的地の「生華学園」の敷地には入って来ていた。ただし「生華学園」は、広大な敷地を持っているため見渡す限り森ばかりの広い道、ここが目的地の中間地点だとはなかなか解らないだろう。実際ここでは毎年新入生が別名「歩く迷路地獄」と呼ばれる生華学園への道程で泣きながら発見されることがたたあるのだ。この調子だと本人がいつ気づくか定かではない
「そういえば俺、理事長に会ったことないじゃん!?どうしよう、挨拶しに行こうにも顔がわかんないんですケドっ!!」
その場に崩れ混むようにして後ろを何気なく振り返ると、生華学園の制服を着た学生が数十メートル後ろから歩いて来るではないか
わわっ、やったー!?人が歩いて来たっ!!神は俺を見捨ててはいなかったんだねっ!?
「すいませーんっ、ちょっとお聞きしたいことが…」
そこまで言って言葉を止めてしまった。なぜって?理由は簡単
目の前に今まで見たことのない絶世の美形がいたからだっ!!(ちょっと誇らしげに言ってみたことはないしょだ。)
美形なんて言葉を死語だと思っていた俺には予想外のダブルパンチをくらった感じだった
「何か御用でしょうか?」
美形に質問されてる!!
スゲー、流石有名学校。物言いに品があるなぁ
「あの、えとっ、生華学園に行きたいのですが、どうにも行き方がわからなくて」
「面白い事を言う人ですね、ここは『生華学園』の敷地内ですよ?」
苦笑しながら教えてくれた
あちゃー、やってしまった。俺のバカっ!!いや、実際バカだケドさ。
何も言えずにいるとその男が話を振ってきた
「もしかして、生華学園の校舎までの行き方がわからなくて迷っていたのですか?」
「…はいっ、そのとーりでございます」
「俺で良かったら道案内しますよ。俺は斎賀葵(サイガアオイ)です。えっと―…」
「あっ、紅葉です。三條紅葉、『生華学園』2年に転入します」
あれ、葵さんの頬が少しだけ釣り上がった気がしたんだけど。…気のせいかな?
「…ふーん、君があの―ね」
最後の言葉だけ風の音が邪魔して聞き取れなかった
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