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□Thank you
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屋上で精市と空を眺める…この瞬間を

噛み締めるくらいの幸せに感じるのは

やっと君が私の隣に戻ってきたからだね―…









「愛子」

精市が優しく私の名前を呼ぶ。

「なに?精市」

今日は精市が退院して初めての登校日。

私は幸せでいっぱいだった。

「俺が入院している間、ずっと側で俺を支えてくれたよね」

「あんまり…役に立てなかったけどね」

正直私が役に立てたとはとても思えない。

林檎の皮を剥こうとして、自分の皮を切っちゃったり…

後は、精市の為に作ったハーブティーを淹れようとして自分の手にかけちゃったりした。

ドジばかりで何もしてあげられなかったと思ってたのに…

「愛子がいてくれたから、俺は諦めずにここまで来れたんだよ。だから…」

精市が私の頭を撫でた。

その表情は…

「精市」

精市の頬に触れる。

精市は多分怖いんだ。

誰かが、離れていくことが。

「私は大丈夫だよ。私はずっと精市の側にいるから。だって私…精市が大好きなんだもん」

私がにっこり笑うと、
精市の目から一筋の涙がこぼれた。

「愛子…」

精市が私を強く抱き締めた。

私も精市に手を伸ばす。

「俺も大好きだよ…ずっと。だから、一生俺の側にいてくれるかい?」

耳元でくすぐるように囁く精市。

当たり前だよ…

「ずっと、ずっと側にいるから」

私がそう言うと、精市がにっこり笑って「ありがとう」と言った。

その言葉があれば、他に何も要らないよ。

あなたがいれば、私はずっとずっと幸せなんだから―…

「精市」

「なに?」

「大好き」

私は精市にキスをした。

とても優しい…キスだった。









Thank you

<ありがとうって言葉だけで><全てが伝わるんだよ>
 

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