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□水面に映る、月の様に
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夏バテしてぐだぐだしていた私にある提案を持ちかけたのは、
『いいとこに連れてっちゃる』
駆け引き上手な詐欺師だった。
それにのった私も私だけど、
まさか…
「ねぇ…これってやっちゃダメでしょ」
「平気じゃろ。鍵もここにあるしな」
鍵をくるくる回しながら仁王が笑う。
昼間に言ってたいいところ…は、
夜の学校のプールのことだったみたいで。
見事に騙されたみたい、私。
「水着、持ってきたじゃろ?」
昼間に言われた通り、私は水着を持ってきた。
あんまり派手じゃないような、ごく普通の水着。
「うん、持ってきたよ」
「…愛子。
お前さんはプールを目の前にして帰るんか??
入ったら気持ちええと思うがのぅ…」
意地悪そうに笑うペテン師は、
私に向かってそう言った。
「気持ちいいと思うけどさぁ…」
「なら入ればええじゃろ?」
完璧に踊らされているとわかったものの、私は誘惑に勝てなかった。
弱いぞ、私!!
「…じゃあ入る」
仁王は私を見てニヤリと笑うと、プールの鍵を開けた。
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