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□ちっぽけな幸せ
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授業中、先生が話してる事なんて頭に入ってこない。

隣にいる人が気になって仕方がないからだ。

切原赤也。

テニス部レギュラーの中で唯一の2年生。

私も時々彼を見にいく。

そのときの彼の姿は本当にかっこいい…

そしてなによりも彼がテニスをしている時の笑顔に、
私は惹かれていったの。

―…見るたびに好きになる。

―…見るたびに苦しくなる。

私はそれくらい切原くんが好き。

…まだ一度も話したことはないけど。

それでも…













勉強嫌いな切原くんは授業中よく寝てる。

寝てる切原くんの姿は可愛い。

こんなこと言ったら、彼は怒るだろうけど。

なんだか見ていて微笑ましい光景だったんだもん…

「…可愛い…」

思わず呟いてしまった。

多分聞こえてないはず…

そう思った時だった。

「………愛子サン」

切原くんが、起きた。

「…え?」

気づいたら、切原くんの目がバッチリ開いていて。

私の方を見ている。

……………まさか。

聞こえてない、よね??

「…さっきの俺の事?」

切原くんが上目使いで私を見た。
その目は寝起きでなのか少し赤い。

もしかしたら私に怒ってる…?

う…

やだ…嫌いにならないで…

「…いや、あの…寝顔可愛いな…って…思って」

あはははは〜!!

と笑い飛ばすしかなかった。

お願い…嫌いになっちゃやだっ!

私は様子をうかがうように切原くんを見た。

切原くんの顔は、真っ赤。

やっぱ…怒ってる??

「き…切原く『あ、あんまりそういう事言うなよな!』…え?」

切原くんは自分の顔を押さえてそう言った。

まるで…恥ずかしいから見んな!
そう、言ってるみたいに…

「わ、私切原くんの事が好きだから…可愛いって思うのも、かっこいいって思うのも仕方がないの!だって好きなんだもん!」

多分真っ赤な私の頬。

…好き。

大好き…

「…知ってる。
愛子サン、いっつも俺を見てた。
前に俺を応援してくれたろ?
あの時仁王先輩が相手で、誰も俺を応援してくれなかったんだ。

その時に…

アンタの声だけが俺に向けられてた。

頑張れって背中を押してくれた…
あの時からずっと…気になって…
だから

俺も、アンタの事好きだ!!!」

切原くんが真っ赤になりながら言った。

私の顔はもっともっと赤かった。


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