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□I want you...
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夕暮れの教室。

本来なら誰かがいるはずはない。

むしろいないでくれると私としてはありがたかった。

私は生徒会長だから全てチェックし終えないと帰れない。

しかし家では幼い妹が私を待っている。

だから早く帰らなければならないのに…

なんで。

「…なんでまだここにいるんだ、お前」

一人教室の机に寝ているヤツ。

あれは紛れもなく…

「やっと終わったんか、愛子」

「…仁王。私は理由を聞いたんだぞ」

こちらを向いて眠そうに微笑む仁王。

…ずっと寝てたのか?

「待ってたんじゃきに」

仁王はイスから立ち上がると、
体を軽く伸ばした。

「誰をだよ」

私が怪訝そうに見ると、ヤツは楽しいものを見るかのように

目を細めて、笑った。

「お前さんを」

以外な言葉に私は思わず不快そうな顔をした。

「なにか用か?用がないなら早く帰れ」

「用ならあるぜよ。お前さんと一緒に帰りたいから、待っとった」

飄々とした顔でヤツが言い放つ。

騙されるな、私。

これは所詮ペテンだ。

…本気じゃない。

「お前は何がしたいんだ。私で遊ぶのはやめろ!」

「遊んでないぜよ。俺は本気じゃ」

変なこと言うなよ、ほんとに。

もうこれ以上苦しくなりたくないんだ…

「嘘つくな詐欺野郎」

私がキッと睨むと、
仁王の顔が少し歪んだ。



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