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□言の葉
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唇から漏れる
言葉で騙す
貴方が嫌い
「愛子〜すk『黙ってくれるかな?この詐欺野郎★』」
開口一番に鳥肌が立つような台詞を言わないで、
そう言うと愛子はゆっくりと席を立った。
2人のこうした会話は日常化しておりクラスの皆も面白がって見ているのだ。
「今日もお熱いね〜ご夫婦さん♪」
丸井がちゃかすように仁王の肩を叩いた。
「そうじゃろvv」
仁王が嬉しそうに答えると、愛子がゲンナリと顔をしかめ
そのまま『おいおい』、といった様子で仁王の背を殴った。
「いたいぜよ!」
「仁王が嘘言うからだよ。いつからあたしとあんたが夫婦になったの」
「え、前からじゃろ?」
「うん。そろそろ黙ろうかvv」
2人の掛け合いを見てふいに丸井が吹き出した。
それと同時に周りもどっと笑い出す。
「な、なんで笑うのよぉ〜」
愛子の叫びも虚しく周りの笑いがおさまることは無かった。
学校の屋上、2人はシャボン玉を吹いていた。
七色に光るそれは高い高い蒼空へどこまでも飛んでゆく。
「綺麗だね」
「そうじゃのぅ…」
愛子は遠くに浮かぶ数々のシャボン玉を見つめ、小さく微笑んだ。
その姿を見て仁王が盛大な溜め息をついた。
「なぁ、愛子」
「なに?」
「好きじゃよ」
仁王は消え入りそうな小さな声で囁いた。
「ウソつき」
愛子は苦く笑いながら仁王の頭を叩いた。
「いてっ」
「ざまーみろだよ」
べーっと舌を出す愛子。
仁王はその姿を見て苦しそうに瞳を揺らしながら愛子の体を抱き締めた。
「…なにっ/////」
突然の出来事に愛子の顔が赤くなる。
今までこんな事一度もしなかったのに―…
「お前さんに…どうやって伝えたらいいのかわからん。
直球に気持ちを伝えても、甘えてみてもお前さんは見向きもせん。
今まで会うた奴と違うんじゃ、愛子は。
特別なんじゃ…!
嘘じゃ…ないぜよ…?」
愛子を抱き締める仁王の力が増した。
(いつも悠々としていて
掴み所がなくて
かっこよくて
意外と甘えん坊で
わがままで
強引で
放っておけない君が
こんなに真剣なのを初めて見た。
あたしは知らず知らずの内に仁王を苦しめてたのかな…)
愛子も本当は仁王が好きだった。
ただ、怖かったのだ。
彼が猫のように腕からすり抜けて、他の人の所に言ってしまうような気がして。
今やっと、決心がついたよ―…
「…仁王っ!」
自分に抱きついたまま震える仁王の背中に手を回すと、
愛子は愛しそうに仁王を抱き締めた。
仁王がハッとなり顔を赤くする。
「…愛子?/////」
「あたしも…あんたが好きみたい/////」
愛子が眩しく笑うと、
仁王はその頬を優しく撫でて
優しく、キスを落とした―…
言の葉
<上手く言葉にならなくても><その想いだけで十分だよ>
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