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□You don't have to worry
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傷付いた体を引き摺るように屋上に着いた。





至る所に痣がちらつく体は“白い”と形容し難い程に変色し、所々が青い。





どうしてこんなにボロボロになっても泣けないんだろう。






















違う。







私は泣けないんだ…







感情がもう枯れきってしまったから。





人生を諦めてしまったから。





「あぁ、もう…」





どうでもいい。







もういっそ、死んでしまおうか。





あいつらはきっと笑うだろうな。






私はフェンスを乗り越えた所に立った。





汚れきってる世界なんて大嫌い。





みんな腐ってる。





もう、疲れたよ。





私が空中に一歩踏み出した時。





“ガンッ”




屋上の扉が乱暴に開けられた。





『何、しとん、じゃ…お、前さん』





息を切らせた声が聞こえる。





振り返れば、透き通るような銀髪が風に靡いていた。





まさ、はる…?





『愛子…なんで言わんかったんじゃ』





「なんの、こと?」





私はとぼけたように言った。





本当は全て分かってる。





雅治が何でここまで怒っているのか。





私がどんな目に遭っていたか知ってしまったと云う事も。





全部、分かってるよ。





でも私は弱いから





貴方に迷惑を掛けたくなかった。





いつも本当は誰よりも頑張ってる貴方の足枷になる位なら。





私はきっと、死ぬことを選ぶでしょう。





『お前さん、馬鹿じゃ』





「…え?」





『何で死のうとしとるのに、泣いとるん?』





雅治の言葉にハッとなり、頬を触る。





冷たいような、濡れたような感覚がした。





私いつのまに…





『お前さん、ほんに“死にたい”訳じゃなかろ?』






『愛子は優しいから、俺に迷惑掛けとうなかったんじゃな?』





私は雅治の言葉に自然と頷く。





あぁ、もう…君には敵わないな。





『愛子…早く俺ん所に来んしゃい』





雅治がパッと腕を広げ、フェンスに近寄る。





私は迷うことなくフェンスを上ると雅治の腕に飛び込んだ。






「ごめんね、雅治…大好きだよ」





私がそう言うと雅治はニヤリと笑って





『言わんかった罰じゃな』





私にキスを落とした。





「っ///////」





『お。真っ赤になって可愛いのぅ愛子』





耳元でくすぐるように囁く雅治に私の顔は一段と紅潮した。





『好きじゃよ、大好き、愛子』





雅治の声に私は静かに目を閉じる。





トクン、と高鳴る雅治の心臓が妙に心地いい。





「―…雅治」





『なんじゃ?』





「私、生きてるね…」





『…ああ』





「あった、かいね」





『…生きとってほんによかったぜよ、愛子』














世界なんてちっぽけで












汚い人間だらけで














未来なんて見えないけど













貴方が居る世界なら
















きっと何よりも、輝く世界だと思うよ。










I don't have to worry

<大好きな><君と>




――――――

後日談はまた別のお話で書かせていただきます\(^o^)/


ここまでお読み下さいましてありがとうございました(´・ω・`)
 

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