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□春の心
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君が好きやと気付いたその日から、
俺の心は君の事でいっぱいなんや―…
「蔵ぁ〜」
向こうからダンボールの山が歩いて来よった…
と思うたら、声がした。
俺が好きな女の子の声―…
「愛子…それどないしたん?」
ダンボールを訝しげに眺める俺の脛を愛子が蹴った。
「うぉっ!!」
強烈な痛みが足中に広がる。
「そんな事言うとるヒマあるんやったら早う手伝って!!!」
愛子が半泣きで俺に訴える。
…しゃーないなぁ。
「えぇよ…貸し?」
俺は愛子の手からほとんどのダンボールを取ると、
自分の体の前に持ってきた。
「…あたしこんな少なくてえぇのん?」
「女の子やろ、愛子は。
こうゆうんは男がやるモンや」
俺がフッと笑うと、愛子が花が咲いたようにパァッと笑った。
…っ////////////
「蔵は優しいなぁ…ありがと」
残りのダンボールを持ちながら、俺の隣を歩く愛子。
いや、ちゃうで。
俺がこんなに優しいんは…
君に片想いしとるからや。
…なんて、言えたら良かったんになぁ。
フラれるのを恐れて一歩前に踏み出せない聖書(バイブル)じゃ笑われるで、俺。
…ちょっと位アタックせな。
「愛子が困ってたらいつでも助けに来たる。
せやからこれからも他の男やなくて…俺を呼び?」
俺が少し妖艶に笑って見せれば、
君は顔を真っ赤にしてコクコク頷いた。
…君が落ちるまであと少し―…
春の心
<君を想うと><心はまるで春のよう>
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