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□片想い
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告白は、何となく苦手だった。
昔から好きな子ができても告白しないタイプだったし。
なにより告白とかしてソイツとの関係が壊れちまうのがすげーヤダ。
断られるのもこえーし…
そんなこんなで俺は、1年半くらい片思いを続けてる。
「愛子〜お菓子持ってねぇ?ガム切れちまった!」
「あいよ♪今日はね、夏ということでさっぱりしたゼリーを作ってきましたぁ」
ジャーンと言いながら、愛子がキラキラとしたオレンジ色のゼリーを取り出す。
ニコニコしながら俺の方を見る愛子の姿は、めちゃくちゃ可愛い。
コイツが俺の好きな人で、テニス部マネージャーの西島愛子。
料理も上手くて、なによりお菓子作りは天才的!!
だから俺は何かを理由にいつもお菓子を作って貰ってる。
「オレンジゼリーじゃん♪いっただきま〜す♪」
つるりとしたゼリーをスプーンですくって口に運ぶ。
その瞬間から甘酸っぱい蜜柑の味と冷たさが口の中に広がった。
やっべ〜!!
「愛子!これめちゃくちゃ美味いぜぃ!」
残りのゼリーはまたたくまに俺の腹の中に消えていく。
その姿を見ながら、愛子は微笑んでいた。
「ブン太はホントに美味しそうに食べてくれるね〜」
「?美味いモンは普通美味そうに食うだろぃ」
2個目のゼリーを食べてる時、愛子が窓を見ながら言った。
「あたしの家ね、お父さんと2人暮らしなんだ。
だけどお父さんあんまり家に帰って来ないし、たまに帰ってきてご飯食べても何にも言ってくれないの。
だから、あたしブン太が美味しそうに何か食べてる時の顔が大好き」
いきなり愛子を抱きしめたい衝動にかられた俺は、愛子の頭をポンポンと撫でるだけで我慢した。
だっていきなり抱きついたら驚くだろぃ?
俺、愛子には絶対嫌われたくねーから…
「お前の作ったモンはぜーんぶ俺に食べさせてくれよぃ?俺お前の作るモンみんな好きだからよ」
そう言ってニカッて笑うと、愛子も同じように笑ってくれた。
「うん♪ブン太大好きっ!」
笑いながらとんでもねー事言いやがったコイツ。
大好きって、どういう意味の大好きだよぃ!!
愛子は天然だから無意識に言ったんだろうけどよ。
もし俺以外の男にそんな事言ってたら、他の男理性飛ぶぜぃ…
愛子みたいに本当に可愛い子、そうそういねーもん。
「そういう事、他の男に言うなよぃ?」
俺が呆れながら言うと、愛子がきょとんとした顔をした。
「なんで??」
なんでって…天然だから仕方ねーか。
俺は愛子の耳に手を近付けると、口を開いた。