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□キス
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「お前は人を好きになった事があるか?」

いきなり何を聞き出すんだコイツ。

そんな視線をギシギシとぶつけても、ヤツは怯まない。

「そんな顔をするな。データを集めているだけだ」

いやいや、アンタ目閉じてるから見えないでしょ。

心の中でそう思っていてもヤツはデータマン、わかちまうんだろコノヤロウ。

「お前のデータはほぼとれているがそこだけが抜けている。これではデータが不完全だ」

「いや、だからってそんな事聞くなよ。秘密にしておきたい事もあるだろ」

私は目の前の頭が良すぎて、無駄な事を追求する馬鹿野郎を見た。

冷や汗が頬を伝う。

「…その顔、仕草から見て図星のようだな」

柳がノートに何かを書き足した。

「私は好きな人なんてできた事ないぞ!!」

「顔が赤いようだが?愛子」

「…っ!!!」

だって言える訳ないだろう。

初めて好きにななった人が、
柳…お前なんだから。

「ほ、放っておけ!!!馬鹿野郎!!」

私はあまりの恥ずかしさにそこから逃げ出した。

お前にはわからないよ、柳―…
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