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□コワレモノ
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―――――――

「今日も…綺麗な空じゃのぅ」

屋上に行くのはかったるい授業をサボる為でもあるが、

一番の理由は…

この空を眺める為じゃ。

真昼のこの時間は一段と青い空が見られる様な気ぃがするん。

それに

空は、愛子が一番好きな景色じゃきに…

「愛子…来ないかのぅ」

なんとなくに呟く。

来るわけなんて、ないんじゃが。

俺は心地よい風に包まれながら眠りについた。














次に起きた時、辺りはもう夕方じゃった。

しまった。そう思い起き上がろうとするが、

何故か起きれない。

誰かが俺を抱き枕にしとる…

一体誰が…?

おそるおそる振り返ると、

愛子が幸せそうに寝ていた。

「…お前さんいつの間に来たんじゃ?」

優しく髪の毛を撫でると、『うーん』とうなる愛子。

…面白いのぅ。

今度はおでこにキスをしてみる。

「…ん〜…」

愛子はまだ起きない。

幸せそうな顔しよって…

この顔をいつか俺が歪めてしまうかもしれないのが怖い。

愛子を傷つけとぅない。

じゃけどもし、今だけ許されるなら―…

「今くらい…ええかのぅ」

静かに、愛子の唇に自分の唇を重ねた。

ほんの一瞬の出来事じゃ…愛子が起きるわけなんぞない。

俺は愛子の耳元で囁いた。

「好いとうよ…愛子」

愛子を抱き締めると、愛子が小さな声で何かを呟いた。

…?

「…ま…さはる…だい…す…き」

聞こえとったんかはわからんが、

愛子は確かにそう呟いた。

今は寝てる時じゃけど、

今度は起きた時に
ちゃんと聞かせてくんしゃい…愛子?










コワレモノ

<大事なものほど><壊したくないじゃろ?>
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