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□水面に映る、月の様に
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「…お前さん、なんじゃそれ」
仁王がガッカリしたように私を見た。
水着の上にTシャツとズボンを着て何が悪い!
「いいじゃない!!」
「よくなか。俺の楽しみが減るぜよ」
「た、楽しみって…////
だって…好きな人に水着なんか見られたら…あ」
動揺して飛び出してしまった言葉を止めたときには遅かった。
仁王にはバッチリ聞こえちゃったし…
驚いたように私を見た仁王の瞳が大きくなってた。
いや…だったのかな。
だって私なんかじゃ仁王とつり合わないもんね…
「お前さん…今の」
「き、気にしないで!!!早くはいろー!!!」
仁王の声が聞こえないように、私はプールに飛び込んだ。
やっぱり、気持ちいい。
「仁王も入りな…」
月の光が綺麗な夜空の下、
仁王の姿が無かった。
私が潜ってる間にどこかに行っちゃったのかな…?
仁王の姿を探していると、
足を誰かに掴まれた。
「…きゃあ!!!」
ブクブクとプールに引きずり込まれると、
仁王が真剣にこっちを見ていた。
仁王が…ひっぱったんだ…。
私が驚いたように仁王を見ていると、強く腕を引かれた。
強引に唇が重なる。
仁王は私そっとを抱き締めてから水面に浮上していった。
「…ぷはーっ…」
私が浮かんだ瞬間、仁王は見たこともないくらい優しく微笑んでいた。
…なんで、あんなことを…?
「愛子…好きじゃよ。
言葉に出来ないくらい大好きじゃ。
お前さんがああ言ってくれたんに俺だけ返事しとらんのはおかしかろぅ…?」
自分の唇をなぞる仁王は、
なんだか妖艶で。
私の心臓なんかもうバクバクになっていた。
「わ…私も…好きだよ…」
言葉になったのはこれくらい。
次の瞬間にはもう私は仁王の腕の中にいた。
「愛子…綺麗じゃ」
仁王が私の髪を撫でる。
トクン、トクン。
聞こえる、仁王の心音。
私たちはそのまましばらく抱き合っていた。
水面に映る、月の様に
<月夜に照らされたお前さんは><いつもよりも綺麗じゃった>