その他
□だれよりも
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今日もいつも通り乙女からの依頼を終わらせたあとの帰り道。
「・・・ヒロCー?」
声を掛けてもヒロCは反応しない。
ただ、黙り込んで歩いていてどこか怒っているような雰囲気を漂わせている。
(あれ!?俺、なんか怒らすようなことしたっけ!?)
オノDは必死に記憶を巡るが、該当することがない。
だからこそ、どうしてヒロCが黙っているのかが分からない。
ヒロCが黙ったままなので必然的に二人の会話は続かず、重苦しい空気が漂う。
この空気に耐えられなくなり、怒っている原因を聞こうと口を開こうとしたがそれより先に、ヒロCが口を開いた。
「オノDってさ、女の子にモテるよね。顔けっこうかっこいいし。」
「へ?そんなことな・・・、」
「今日もそうだったし、オノDもデレデレだったし?」
オノDの言葉を無視し、言葉を重ねていく。
冷静を装った口調だったかどこか拗ねた感じだった。
ふと、オノDは頭に浮かんだ言葉を口にする。
「もしかして、ヒロC妬いてる?」
その言葉を聞いたヒロCはぐっ、と黙り顔を真っ赤にする。
意外なその反応にオノDは驚きを隠せない。
「図星、だったんだ・・・。」
「悪い?でもオノDが悪いんだから。」
「なんで。っていうかそれよりさっきからなに怒ってるんっすか?」
先程からの疑問を口にすると、ヒロCは少し黙っていたがぼそり、と呟くように言った。
「だって、オノDが俺だけを見てくんないから・・・。」
ヒロCの顔が真っ赤なように、オノDの顔も赤くなる。
いつも、想っているのは自分だけだと思っていたから嬉しさを隠せない。
「ヒロCがデレた・・・。」
「うるさい!だから嫌だったのに!///」
そしてオノDは自分でも気づかないうちにヒロCにキスをしていた。
「へ、ぁっ//、・・ちょ、だめっ//」
人通りが少ない道だとはいえ、人が通ったら大問題だ。
しかしオノDはヒロCの制止を聞かず、舌を入れ甘いキスをし、ヒロCの衣服の中に手を入れようとすると。
「いたぁっ!?」
ヒロCに思いっきり脛を蹴られ、オノDは反射的に口を離す。
「オノDのバカっ!調子に乗るな!」
「あー、デレ期終わっちゃったー。」
「さっさと帰るよ!バカD!」
「バカDってひどっ!」
怒った口調で言っても、ヒロCの顔は赤いままでオノDには照れているのが丸わかりだった。
「やっぱヒロCってツンデレだな−。」
「キモデレのオノDに言われたくない。」
「キモデレって・・・。」
ヒロCの言葉に苦笑しつつも、歩調を早めヒロCの前に回り込む。
訝しげな視線を送るヒロCの耳に口を近づけ、極上の甘い声で囁いた。
「心配しなくても、ヒロCのことを俺は誰よりも愛してるよ。」
案の定ヒロCにまた脛を蹴られた。
痛みで蹲るオノDを無視し、歩き出す。
オノDが後ろで何か言っていたが、無視しヒロCは紅潮し熱っぽい自分の頬に触れた。
「・・俺だってオノDのこと・・・。」
最後の言葉は吹いた風に掻き消され、誰の耳にも入らないまま消えていった。
ーだれよりもあいしてる。
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