デュラララ!!

□伝えたい想い
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粟楠会との商談を終え、家路につく。

そうして、いつもと変わらない日常が今日も終わる。

商談は全て自分の思うがままに事が進み、臨也にとって最高の結果に終わった。

望ましきことなのだが、思い道理に進み過ぎて正直つまらない。

「あーあ。なんか起こってくれた方が面白いのになぁ。」

直後に臨也はその言葉を後悔した。

目の前に、彼の天敵・平和島静雄が現れたのだ。

ここは池袋なのだから彼と会っても不思議では無いのだが、行くたびに遭遇しては嫌気がさしてくる。

「うっわぁ、シズちゃん。なんでこんなに君と会うのかなぁ。もしかして、俺のこと好きなの?」

わざと挑発の言葉を吐き、静雄の攻撃に備えて身構える。

そこらにある自動販売機や標識でも投げつけてくるかな、と思ったのだが臨也の予想に反して静雄は、挑発を聞き流し無言で踵を返した。

いつもの静雄ではあり得ない行動に臨也は呆気にとられて彼の背中を見る。

声を掛けようとした瞬間、ぐらりと静雄の体勢が崩れた。

「シズちゃん!?」

臨也にしては珍しい切羽詰まった声で駆け寄り、地面に直接倒れかけた静雄の体をぎりぎりのところで支える。

静雄は苦しそうに顔を歪ませ、荒い息遣いを繰り返している。

そのまま静雄の体を両手で抱え、走り出した。









☆☆☆








静雄の家に行き、彼をベットに寝かせた後自分の携帯で新羅に電話を掛ける。

2、3回のコールの後出た新羅の話を聞かずに早口で静雄の容態を告げた。

『ーああ、それは多分風邪だよ。』

「風邪?ただの?」

『うん。症状を聞く限りでは最近流行ってるヤツだと思う。普通なら病院に行った方がいいけど、静雄なら安静にしてれば明日には治るよ。』

新羅の言葉に拍子抜けしつつも臨也は安堵の息を吐く。

それが電話の先にも聞こえたらしく、からかうような口調で新羅が話し始める。

『それにしても、突然電話が掛かってきて吃驚したよ。それに臨也のあんな焦った声初めて聞いたし。まぁ、そうだよね。臨也って・・・。』

無言で電話の通話終了ボタ ンを押す。

半ば強制的に新羅の話を中断させ、携帯をポケットに入れる。

ベットで寝ている静雄の顔を覗くと、先程よりも随分顔色が良くなっている。

それでも、時々苦しそうな咳をし顔を歪ませる。

優しく髪を退け、額に手の平をのせると人の常温より高い熱が伝わってくる。

「あのさぁ、馬鹿って風邪引かないんじゃないの?」

嫌味を言ってみても、反応してくれるわけがなく虚しく空気に溶けた。

「こんなのシズちゃんじゃないよ。」

呟いた臨也はやり切れない顔をして眉間に皺を寄せる。

こんなの俺の好きなシズちゃんじゃないよ。

聞こえていないのは分かっていても、静雄に向かって強請るような口調で言葉を紡ぐ。

「だから早く良くなって、早く・・・。」

俺に君のこと、好きって言わせてよ。















「臨也って、高校の時から静雄のこと好きだもんね」

知ったような口をきく、あの鬱陶しい友人の言葉を思い出した。


















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