SS屯所

□衣替え
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千鶴が答えないうちに、沖田は僅かにあった隙間を完全に詰めて…その熱い体温を伝えてくる。
「ほら、目を閉じてちゃだめだよ?ちゃんと開けて?」
そう囁く沖田の声はまるで媚薬のようで…。その言葉に、千鶴は逆らえずに閉ざしていた目を開けた。
その彼女に…。
うん、いい子だね、千鶴ちゃん。僕、いい子は大好きだよ?と、言いながら、沖田は壁に抑え付けていた彼女の手をそっと、自分の胸元に運んだ。
素肌に触れた瞬間に、指をビクリとさせ、慌てて離そうとする千鶴の手を、逃がさないように上からギュッと握る。

「千鶴ちゃん、キミにだけ、もっと他のところも…見せてあげようか?…ホラ、ちょっとその手を動かせば着物なんてカンタンにはだけられるよ?ねぇ、どうする…?」
ほとんど吐息だけで囁いてから、沖田は掴んでいた手をそっと、離した。
その、声なき誘惑に、千鶴は抗えない。
手のひらから伝わってくる熱は、彼の身体の熱さか、はたまた、自分の熱さなのか…。
それさえもわからなくて、沖田さん、おきた、さん…と、か細い声で名前を呼びながら、千鶴は自由になった手を懐の奥へと滑らせる。
再び、その千鶴の耳元には沖田の声の媚薬が注ぎ込まれた。
「そのかわりに、僕も千鶴ちゃんの可愛いところ、全部見せてもらうよ?…いいよね?」
そう…宣言してから、沖田は千鶴の唇を塞ぐ……。


僅かな時をおいてから、千鶴の身体はフラフラと崩れて…沖田の中へと墜ちていった。



END


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