獣ノ楽園

□七夕ノ日ノ出来事
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「薔薇、次あっち行こう!」

「慌てなくても大丈夫ですヨ」


先に来ていた津と薔薇が出店をまわっていた。津は先程買ってもらった林檎飴を舐めながら薔薇の手を取り歩き出した。


「(林檎飴久し振り〜♪)…うわっ」


そんな中津は前を良く見ていなかったのか、他の人とぶつかってしまった。


「イタタ…。ごめんなさ…アレ?」


気付いたら左手が空いていた。

どうやらぶつかった後に薔薇の手を離してしまったらしい。慌てて周りを見るけど、人混みの中、

ましてや140cmの身長では見付けようとしても叶わなかった。


「薔薇ー。どこー?」


彼女の名を呼んでもガヤガヤとした人混みの中に吸い込まれる。


「…ふぇ、えっく。そーびぃ…どこぉ」


ポロポロと涙を流しながら一緒にいた仲間の名前を呼ぶ。

しかしどうする事も出来なくて、津はとりあえず歩く事しか出来なかった。
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