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□『Sprizer』
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「ファーストキスは…レモンの味って言うけど……あの時は確か、そんな味は…///しなかったし…総司さんがファーストキスじゃなかったって事?」



一瞬気持ちがどんよりするけれど、名前を呼ばれた事でハッとして意識を戻された。



「…………ち、づる?」



「ぇっ、あ…そ、総司さん///」



ふと唇を触っていた手のやり場に困り果て、目を開けるという瞬間千鶴は手の平で総司の両目を覆ってしまう。




「ちょっ、な…何?…千鶴?」



「あっ、わ…えと、私ったら…何して///


――総司さん、ごめんなさいっ!!!」





突然ごめんなさいっ!!…なんて一言が聞こえたけれど、視界が見えない総司には何のことやら…。何事かと聞こうとしたが、千鶴の柔らかな唇を押し当てられていて……何となく謝られた意味が分かった気がした…




「君に寝込みを襲われるとは…思っても見なかったなぁ」



「な、何も…聞かないでくださいっ///」


「別にいいよ、寧ろ嬉しかったし。でもさ、千鶴って部屋が暗い時とか僕が寝てる時は積極的になるんだね」



「そんな事……っ、ないですっ!!」



「そっか。自覚なしっていうのも可愛いからいいけど…でも、」



おいで…、と総司に手招きされて千鶴は膝上に収まるけれど、掌で目隠しをされた上に耳元で容赦なく囁かれる。



「僕以外にこんなことしたら、」



唇をぺろりと舐められた。



「捕って食べちゃうからね」




語尾にハートが付いてしまいそうな、そんな甘い囁き…。

そのままキスされて…
あぁ、毎回どんな味なのかなんて考える隙を与えられていないことに気付いた。



今更。そう、本当今更。



the end.
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