2
□『tanquerayforest』
1ページ/2ページ
小さな丘の上にある僕のお気に入りの場所。特にやることもない休日の日には、千鶴と日向ぼっこをしにくるんだけど‥本当、最高の贅沢だと思う。
春になると一面タンポポで覆われて、それで千鶴に冠を作ってあげたり。
「かわいい、似合ってるよ」
「ありがとうございます、総司さん。」
「千鶴の綺麗な黒髪に、タンポポの黄色は良く映えるね」
「総司さんもきっと似合いますよ。今日は私も冠、作ってあげますね」
ふんわり笑って、千鶴は自分の周りに咲いているタンポポを摘んで茎を纏めて、くるくるしての繰り返し。本当に楽しそうに作業を繰り返す千鶴を見て僕は満足。
寒くもないし、暑くもない。
丁度いいこの陽気。幸せだなぁなんて惚けていたら眠くなってしまった。
返事は聞かずに頭を千鶴の膝に預けてみた。
「寝ちゃうんですか?」
「千鶴の膝枕は最高だし…、こんなにいい天気なんだもん。」
「じゃあ、総司さんが起きる頃には完成させておきますね。」
「良く寝てたから起こせなかった、とかなしだからね。ちゃんと起こしてよ?」
「起こす頃にはきっとお昼時になってますよ。ちゃんと起こしますから心配しないでください」
―――……
撫でられて、髪を指先でくるくるされて、擽ったさで眠りから引き戻された。
瞼を上げれば暗闇と昼の明るさの差に一瞬視界を奪われる。
「うぅん、ちづる…」
「そろそろお昼ご飯にしましょう?タンポポの冠もちゃんと完成しましたし。はい、総司さんにあげますね」
色を変えたい文字