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□『fascination』
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「あぁ…やはりHAYATO様の朝の番組がないのは寂しいものです」



以前"あれを見ないと1日が始まらない"という位にあの番組が好きだと言っていたのは覚えている。体に染み付いた習慣というのは中々抜けないのは分かっているし、彼女のことだ。今のも無意識に言葉にしていたんだろう。



「あなたという人は…」



「…どうか、しましたか?」



「今、自分で何を言ったのか…気付いていないんですか?」



「…あ、えと…」



「HAYATOは自分自身ではありますが、やはり私がいる時に他の男の話をされると…」


「と、トキヤくん//」



「心中穏やかではいられません。」



「うぅ…近い、です‥」



「キスしようとしてるんです。近くて当たり前でしょう」



トキヤの骨ばった指先が春歌の顎をやんわり上に傾け、制止の声を無視して口付ける。苦しくなる頃を見計らって一度唇を離して、また塞いでの繰り返し…



「どうしてもと言うのなら、」



「ど、どうしてもと言うのなら…?」



「あなたからキスしてくれたら、演じてもいいですよ」



「き、きき…キスッ!!!」



「慌てる必要はないでしょう。それ以上の事だって経験済みなのですから…」



「そ、それとこれとは別です!!」



「それとこれってなぁーに?良く分からないから僕に説明して欲しいにゃぁ‥」



「!!!!!!!!」



春歌の顔は可哀想な位に真っ赤。いじめ過ぎたのではとトキヤはほんの少し省みたけれど、好きな子を苛めたくなるのは仕方がないと割り切ることにした。
人なつっこい笑顔を携えながらじりじり距離を詰めて詰めて…



「ねぇ、春歌ちゃん、」



「は、HAYATO様…」



「ねぇ春歌、」



「と、トキヤ君っ」



へなへなとその場に座り込んだ春歌は顔を真っ赤にさせてパニック状態。どうやら朝から刺激が強すぎたらしい…



「少し調子に乗り過ぎました」



「HAYATO様ぁ、トキヤくん…」



「あぁもう、可愛過ぎます」



ただただ、
彼女への愛しさが増しただけでした。



fine.
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