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□『Firth Of Fifth』
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あぁ、ここもここも…
こんな所にまで……


目を覚ましてからのそりと起きて不自然に重たい身体を引きずってバスルームへ。
鏡に写し出された自分のデコルテはまたもや見るも無惨な惨状になっていた…
薄いものから血の色が浮き出た濃いものまで。大小、色様々…



「トキヤくんは…どうしてこんなに、」



「独占欲が強いのか…ですか?」



気を取られていて全く気付かなかった。
振り向こうとした時には既に腰には腕が回されていて、下腹部辺りで組まれていた。名前を呼ぼうにも首筋を這う唇や舌に意識を持って行かれてしまう…



「起きたら、春歌が隣にいないので心配しました…」



「すみません‥」



「今回も綺麗に付いてますね、」



「どうして…トキヤくんはこんなに、き…キスマークを」



「付けたいから、ですよ。これじゃあ理由にはなりませんか?」



擽ったさとチクリと時折走る痛みで逃げる春歌頭を押さえながら、首筋をぺろりと一舐め。小さく漏れる吐息と艶めいた言葉のせいで昨日の情事の熱がどんどん蘇ってきてしまう…



「んっ…」



「春歌が、私のものだって印を付けたいんですよ。何せ人一倍独占欲が強いので…」


「心配しなくても私は…」



「そんなことを言うと、ベッドに逆戻りですよ?」



「それも…困りますけど、このままでは朝ご飯が作れません」



「でも、こんなに体温が上がっているんじゃ…指先が震えて作れないでしょう。ねぇ、春歌…っん。」



首筋にかかる熱い吐息に思わず肩を竦めてしまって…身体を這う手の動きに身体が素直に反応。あぁ、もうこれじゃ有無を言わせてもらう前にベッドに戻されてしまう…選択肢は"従う"しか残っていないのは嫌でも分かっている。



「あの…、お手柔らかにお願いします」



「えぇ、一応は善処します」



fine.
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