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□『gold kir』
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「春歌は、何と言ったいいのでしょう。犬…みたいですよね」
ソファーに仲良くまったり。
トキヤの肩に頭を預けながら五線譜に書き込んだ音符を眺めていた春歌はハッとしてトキヤの方を見やった…
「…それ、随分前ですけど那月くんにも同じことを言われました」
「家に帰ると主人を待ちわびた犬の如く玄関に走って来たり、相手をしてあげると凄く喜んだり…こう、無意識なんでしょうけど擦り寄ってきたりと。該当する事が沢山あり過ぎるんですよ」
「だってお帰りなさいって言いたいですし、一緒にいるのは楽しいですし…。こうやってると安心するんです」
「でしたら…鎖にでも繋いでいっそのこと飼い慣らしてみましょうか」
「え…?」
「冗談ですよ、」
「ほ、本当に冗談ですか…?」
「ご要望とあらば実際にやって差し上げても構いませんが…」
「遠慮しますっ!!///」
「鎖に繋ぐだなんて趣味はありませんが、その可愛さは…そうですね、檻があればそこに閉じ込めて起きたくなる位です」
春歌が手にしていた五線譜の束とシャープペンシルをそっと取り上げて近くのローテーブルへ。肩を少し強めに押せば、重力に逆らう事なくソファーに春歌の体が横たわり、押し返そうと抵抗する手を片手で纏め上げて完全に動きを封じる。
「ちょっ、トキヤくんっ!!」
「さぁ、両手はもう使えませんよ。次においたをするのはこの唇でしょうか…?」
「うぅ、っ…」
顔を背ければ待っていたと言わんばかりに差し出された首筋へと、艶かしく濡れる唇をゆっくりと這わせて行く。声を出さまいと我慢する仕草が酷く煽情的…
「さぁ、逃がしませんよ」
「逃げたりなんか…、しないです」
「なら、一生離してあげません」
覚悟してくださいね…
吐息と共に吐き出された言葉にキュッ…と心臓を、いとも簡単に持って行かれてしまった。
fine.