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□『Lion Heart』
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「なぁ、さっきの奴誰だよ‥」
噛み付く様なキス。
局の中にある翔の控室。
いつもは大きな瞳だって鋭くて、青さが深まって見えたのは気のせいなんだろうか。顔の横に両手をを突かれて春歌は身動きが一切取れなかった。
付き合っていることは秘密、だからこそこんな場所でキスだなんて…そんな背徳感が胸をキュッと締め付ける。
「ん、ん…っ、ぅ…はぁ、ぁ‥」
「…ん、あんな楽しそうな顔、俺以外に見せてさ…」
「しょ…く、っ」
「すげぇ‥苛っとした。」
逃げない事は分かっているから、壁から手を離して細い腰へと回してグッと自分の方へと抱き寄せた。食らい付く様な、荒い呼吸を繰り返しながら無我夢中、そんな言葉が似合う位にキスをした。ただただひたすらに。
「お前は、春歌は…俺のだ」
「翔…、く」
「…俺が春歌のこと、どん位好きかお前知ってる?」
「‥ぅ、ん。」
「うーそ。分かってたらあんな無防備なことしねーし。」
直視したら何もかも、持っていかれそうな揺らぎない真っ直ぐな真っ直ぐ過ぎる視線に春歌は理解に困る位にドキドキ、ドキドキ。
「今日お前の方が先に仕事終わるよな?」
「うん。」
「よしっ、先に帰ってベッドの上で正座して待機。いいなっ!!」
「…しょ、翔くん、」
「答えはYESしか認めない。ほら、返事は?」
吐息の掛かる超至近距離。
いつもの元気で張り上げる様な声ではなくて、低くて少し威圧の含まれた、そんな声。
「翔くん‥」
「うん?」
「早く、帰って来てね‥」
「おうよ、任せとけっ!!」
向けられた笑顔は、いつもの人懐っこい子どもみたいな笑顔だった。
fine.