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□『slippery nipple』
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「眠くなったらちゃんとベッドで寝ろって、昨日言ったばかりだよな…」


「…すみません、」


「体痛めるし、風邪も引くし…」


「はい‥」



いい加減にしろよな…そう口では厳しい呆れ口調なのに、抱き上げたり髪を撫でたりする仕草は酷く優しかった。



「四六時中一緒にいられる訳じゃないんだ。言い付け通りにしてもらわないと、心配で仕事が出来なくなるだろうが…」


「砂月くん‥、」


「あとお前、来週休み作っとけよ、」


「オフ、貰えるんですか?」


「まぁそんな感じだ。それまでに体調崩しでもしたら承知しないぞ」


「はいっ!!」


「…俺は怒ってるんだぞ?なのにそんな風に嬉しそうな顔しやがって…」


「だって、何だかんだ言って砂月くん優しいので…っ痛//」



ばか…と、砂月は春歌の額を小突いたけれど、相変わらず春歌はえへらと笑って嬉しそう。悪い気はしない、そんなの分かっている。心配するのだってこいつだからであって、言葉はキツいのは分かっているけれど、結局はこいつを中心に物事や考えが廻っているんだ…



「相当俺はお前に惚れてるらしいな…」


「何か言いましたか?」


「いや、なんでもない。」



首を傾げる春歌の頭をぽんぽん…と撫でれば心が安らぐのが嫌でも分かった。
惚れている…自分の状態を言葉にしたら、予想を外してしっくりくるものだから思わず口角が上がってしまった。



「砂月くん、大好きです」


「…なんだよ急に、」


「何だか伝えたくなったんです」


「なら俺はお前のその何十倍も好きだ。」


「ま、負けないですっ!!それなら私は砂月くんの言う何百倍も好…」


何十倍、何百倍、何千倍、何万倍…
これじゃあキリがないじゃないか。
言葉を紡ぐ口を塞いでしまうのが一番いいか…手っ取り早くて適切。絶対に負けないと意気込む唇を遠慮なしに塞いで、次が言えない様に呼吸も奪って奪って‥



「っふ、はぁ…っ」


「俺が負ける筈ないだろーが。」



そう、絶対に負ける筈ないだろ。
こんなにも愛しているんだから…



fine.
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