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□『chanterelle』
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あいつ、もうすぐ帰って来るぞ…。
そんな砂月の一言に春歌は玄関まで迎えに走った。暫くしてからドアが開いてほんわかした笑みを溢しながら那月がただいまです、と帰って来た。砂月の言う通りだ…




「あぁ春ちゃんっ、お出迎えしてくれるなんて凄く嬉しいです。今日もいい子にしてましたか?」


「はい。ちなみに砂月くんがもうすぐで那月くんが帰って来るよって教えてくれたんです」


「そうなんですかぁ、双子だと色々分かっちゃうんですよね…感通というか、何と言うか」


「仕事終りの時間からただ単に計算しただけだ。」


「さっちゃん!!ただいまです」


「はいはい。ったく、そろそろ離してやれ那月。無意識に抱き締めたんだろ、手加減しないと春歌が死ぬぞ…」


「あぁあ春ちゃん!!」



抱き締められた春歌は那月の胸元に顔を埋めたまま両手をばたばた…
こんなことだろうと様子を見に来た砂月はやっぱりな…と呆れ混じりの溜め息を吐きながら那月の額を軽く弾いた。



「ごめんね春ちゃん、」


「//ぷはぁ‥あっ、いいんですよ那月くん。那月くんにギュッてされると幸せだなぁって凄く思うので」



「僕も凄く幸せな気分になりますよぉ」



「ち、ちなみにですね、…二人にギューッってされるともっと幸せだなぁって思います」



「………」



「だって。さっちゃん、してあげようよ、ね?」



「あぁ?何でこいつ一人の満足の為に抱き締めるんだ…」



「僕たちも満足するじゃないですか。さっちゃん、顔に抱き締めたいって書いてありますよ?」



「…ったく、苦しいとか文句言ったら即やめるからな。ほら、」



差し出されたのは両手。
春歌はすかさずそこへ飛び込んだ。大きな掌が春歌の小さな体を抱き締めて、少し苦しかったけれど、春歌も目一杯腕を砂月の腰へと回した。それから那月が二人を纏めてギューッと抱き締めた。



「ちょっ、那月苦しい…」


「だって凄く幸せなんだもん、ねー春ちゃんっ」


「はいっ//とーっても幸せですっ!!」



「…なんだよ、この大型犬と小動物は」



「那月くんっ、砂月くんっ」


「なんですかぁ?春ちゃん、」


「あぁ?」


半ば二人に抱き締め潰されながら春歌は笑みを溢しながら名前を呼んだ。那月はいつも温かく優しく応えてくれて、砂月は口では文句を言いつつも行動は何だかんだ優しくて…



「大好きですっ!!」


「っ、春ちゃん春ちゃん僕も大好きですっっ!!もー本当にちっちゃくて可愛くて//」


「おい春歌っ、火に油注いでどうすんだっ!!っばか、那月っ!!」



左右からギュッと、力強い抱擁に体が軋んだ錯覚。それと同じ位に、心臓を、心を鷲掴みにされたみたい。
仕方がないな…相変わらず不機嫌そうな独り言だったけれど、顔には笑みが浮かんでいた。


fine.
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