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□『one more』
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「…大丈夫ですか?」
目を開ければ酷く心配そうな表情をしたトキヤがいた。目を細めて頬を撫でられて、そうされて初めて自分が泣いていることに気がついた春歌は小さく声を漏らした。
「あ…の、わたし‥」
「まだ回数は少ないとはいえ、毎回泣かれてしまうと心配になります‥」
「ごめんなさい‥」
「謝るのは私の方です。君には辛い思いばかりさせていますから…」
「っ、私は…、」
抱き締められて空いていた距離がゼロになる。奥に、でも少し遠慮がちに。
壁と先端が当たる感覚は、腰が浮き上がる位に気持ちがいい…
「…きもち、いぃ‥です」
「…え?」
「ツラくなんて、ないんです。トキヤくんと一緒になれるの、凄く気持ちいいって…思います」
「っ、」
「トキヤ…くん?」
「…嬉しいと言ったら、怒りますか?」
「怒りませんけど、…何で嬉しいんですか?」
「春歌が、私の事を感じてくれてると思ったら嬉しくて…仕方がなくなりました。」
「ぇ…あ、えっ…と、」
「どうかしましたか…?」
「あ、あまりにもトキヤくんが綺麗に笑うので…見惚れてしまいました」
「こら、男に見惚れるなんて言わないで下さい」
「ぁ、ごめんなさ…ん、」
「さぁ、続きをしましょうか」
今までの優しかった瞳が一瞬で鋭くなって思わず、息を飲でしまった。
fine.