4
□『physique garden』
1ページ/2ページ
「翔くーん、ねぇねぇ…」
「ん――?」
「聞いてますかぁ?翔くんってばぁ…」
呼ばれたけれど翔の見る先は大きなテレビ、手には愛用のコントローラー。新作のゲームが出たとかで夕飯を食べてから興じているが、時計の針はもうすぐ日付が変わる…そんな時刻を指していた。
翔はフローリングに腰を下ろし、ソファーを背凭れに。春歌はソファーに座りながら後ろから翔の肩を揺すったり軽く叩いたり…
「むぅぅう、翔くんっ」
がばり…春歌は後ろから抱き付いて、蜜色の髪へと顔を埋めて首を左右に振って嫌々。
「もうゲームは終わりですっ!!」
「目ぇ悪くなっちゃいますよ…」
「もう時間も時間ですっ!!」
「構って…ください、。」
「なっ…//つぅ〜…それ反則、も、無理っ!!」
コントローラーを放り投げ、口を尖らせて不貞腐れた春歌を思いきり抱き締めた。聞こえるのは唸り声…
「うぅうう、翔くん‥」
「ごめっ、。トキヤとレンに言われたんだ…、お前は好きだって気持ちがちっとも隠せてないから、少しは我慢とか抑えるとか、そういうのを覚えろって」
「…でも、今は二人っきりですよ?」
「え…?」
「我慢する必要、ないと思います…」
「いや、まぁ…そうだけど」
「か、構ってくれなかった翔くんがいけないんですっ!!」
肩に手を置いて向かい合わせ…春歌は頬を膨らませ、目線を合わせようとせず伏せたまま。いじけた彼女が可愛くて仕方がなくて、再度無意識に抱擁。ギュッッと。
「だ、抱き締めても私の機嫌は直ぐには直らないんですからねっ」
「お前さ、本っっっっ当に可愛い」
「か、かわ…えぇぇっ//」
「いじけたお前、すっげぇ可愛かった。」
「それ、褒めてるんだか貶してるんだか…分かりません」
「褒めてんの、当たり前だろーが。」
「むうぅぅぅっ…」
「キス、してやるから機嫌直せって。な?」
「とびっきり…」
「そ、飛びっきり甘いキス。お前好きだろー?」
相変わらず唇を尖らせたまま。けれども返事はYESで、翔は突き出た春歌の唇へキス。リップノイズが弾けて消える…
「顔、にやけてる」
「違っ、にやけてなんていませんっ//」
「じゃー嫌って言わせる勢いで構ってやるから覚悟しろよ」
「う、受けて立ちますっ!!」
翔が手を伸ばした先にはテレビのリモコン。電源を切れば画面はぷつん…と小さな音を立ててブラックアウト…
ソファーに座っていた春歌はずるずると下へ下へ…
「構って欲しいのは、俺の方か…」
「ん、なぁに、翔くん…」
「いや、なんでもね。」
fine.