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□『hideriboshi』
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「ねぇハルカ、"好き"って何…?」


「えっと…心が惹かれること。気になること。また、そのさま。または…あるものが好きであることを表す。片寄って好むさま、もの好き。反対語は『嫌い』、だそうです」


春歌は談話室にあった分厚い辞書を片手に色々な意味で正しい答えを言ってのけたが、その辞書の一番新しいデータは既に持っているんだよね…と一蹴されてしまった。ばたん…と、辞書が閉まる音が響く。



「好きというのは、何に対してですか?」

「そうだね、音楽、人を楽しませること、歌、ハルカ、音符の羅列、データ閲覧。それから…」


「あ、あのっ!!」


「なぁに?」



春歌の向かいで頬杖突いていた藍は視線を彼女へと向けたが可哀想な位に真っ赤になっていた。どうかしたの、風邪?それとも知恵熱?当たり障りのない質問をしてみたけれど、首を左右に振るだけで大した返事は一向に返ってこなかった。
人が溜め息だと認識する長さの息を吐き出した。



「私が…解答の中に含まれていたのは、き、気のせいでしょうか…」


「だって"好き"の意味の中に"心惹かれること"ってあったでしょ?好きという感情の答えがそれなら、そうだね、含まれるよ。なに、セクハラとでもいいたい訳?受けてたつけど。」


「そ、そうじゃなくて…あの//」


「あぁ、その喋り方は照れている時だ。心拍数ヤバイけど大丈夫?」


「大丈夫、です。多分‥」


「ふぅん…。じゃあ、キスも余裕って解釈してもいいよね?」


「それは…別、です//」


「別って、どういう意味?僕の事納得させられたら諦めてあげるよ」



視線を泳がせて思考を巡らせる彼女がとてもカワイイと思う。ナツキがヌイグルミをカワイイと思うのと、多分同じなんじゃないかな…。




「はい、残念、時間切れ。ほら唇差し出してよ。早く、」


「ええぇっ!!ご、5秒位しか経ってません藍くんっ」


「この僕が5秒も待ってあげたって凄いことなんだからね…ん、」


「、ん‥ぅ///」


不意打ちのキスで春歌が息を飲んだのが唇を伝ってじわりと感じる。唇を合わせて食んで、呼吸をさせる隙を一瞬与えて再度キス。あぁ、しまった…




「あい…く、っ」


「ごめん。今、体温調整間違えた…」


「えっ?」


「ハルカとキスする時は人肌36℃って決めてたんだけど…まぁ、いいや。ハルカは熱いの、嫌い?」


「いえ、嫌いでは…ないです」


好きだと正直に言えない時に良く彼女が使う言葉。


「だったら唇差し出してよ、そうじゃなきゃ出来ないでしょ?」


「な…にを、ですかっ//」


「君の好きな、熱いキス」



fine.
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