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□『almeria』
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「力、抜いてください…」



自分がただ一刻も早く彼女と一つになりたいだけなんだと思う。言葉や表情は辛うじて優しさを出していたけれど、心や頭の中は酷い有り様だった。自分の目の前には組み敷かれた彼女、握った指先は小さく震え、それを隠そうと必死に指を絡め繋いでいる。



「ときやくん…」


「まだ、痛みますか?」


「…いえ、ただ…」


「ただ…?」


「これを…気持ちがいいと思うのが恥ずかしくて」


「快楽に溺れるのが怖い、そういう解釈で合っていますか?」


言葉なしに首肯することで春歌は返事し、それから絡ませていた指先を離してからトキヤの背中へと回した。項の辺りで指と指とを絡め繋いでから自分を見下ろす瞳をじと見詰め、これから奥を目指して入るであろう熱に耐えられる様キュッと目を閉じた。



「そんなに身構えなくても…それに春歌、眉間に皺が寄っていますよ?」


「…え、」


「私とお揃いにしたいのなら話は別ですが…跡が残ってしまいます。まぁ、それはそれで、可愛いかもしれませんけど‥」


「…可愛くなんか、ないです」


「そんなことありません。ただ、熱に浮かされて情欲に染まった悩ましげな表情の方が私は好きですけどね」



優しく髪を撫でられてキスをされて、ゆっくりゆっくり、じわりじわりと侵食するように入り込む熱い熱い塊に春歌は身体を震わせる。はふ、はふ…と短く繰り返す呼吸音がベッドルームに響いては消えていき、奥に届いた頃に漸くまともな呼吸が1っ出来るようになった。恥骨と恥丘が触れ合えば更に奥の奥へ…



「相変わらず春歌のここは、狭くて熱くて…離さないと言わんばかりに絡み付いて来るんですね」


「っ…あ、」


「言わなくてもわかっています、君は…口よりも身体の方が素直ですから‥」



いきますよ…?と、耳元で囁かれると春歌の両肩が跳ね上がる。ゆっくり、一度引き抜かれて、去っていく虚無感を埋める様にタイミング良く再度奥へ。恍惚な表情を浮かべながら悩ましげな溜め息を1っ…




「私の気のせいかもしれませんが、いつもより…濡れてませんか?」


「な、…そなこと、ない、です…ぁ//」


「そうですか…」


「そ…です、」


「ですが、こんなにも滑りがいいのはどうしてでしょう…。」



「うぅ…っ、いじわる‥です、トキヤくん…」


「分かっているの話が早い…、さぁ、理由を教えてください。春歌‥」


「うっ…、そ‥れはですね…トキヤくんと、こういうことをするのが…」



押し付けられて奥の奥。ぴりぴりと痺れる、この甘い感覚が堪らない…



「気持ちが、いいと…思うからです//」



「あぁ…誰がこんなにも春歌を、――…にしてしまったんでしょうね‥?」



羞恥を最大限に煽る言葉に思わず下腹部に力が入ってしまい、体内に埋まる熱を思いっきり締め付けてしまった。
眉間に寄るのは見慣れた皺、それさえも、愛(いとお)しくて仕方がないのです。




fine.
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