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□『taking a nap』
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炬燵、それは一度入ったら二度と出られない魔の巣窟。出られなくはないが、出ようという決心を固めるまでには多少なりとも時間を費やす…
「ほーら、ハニー…」
「……うぅ、だぁり、ん‥」
「このまま寝たら、身体を痛めるよ?」
炬燵布団を胸元にまで持ってきて、ぬくぬく且つ微睡んでいるのは徹夜明けの春歌。徹夜明けの寝不足状態、やさしい温かさによって半分眠りの世界に足を踏み入れている。舌足らずで上手く喋れない様子は頗る可愛くて、絆されてしまいそうになるけれど、レンは何とか踏み止まった。
「徹夜明けの寝不足の状態なんだからちゃんと寝ないと…」
「でも…、も‥起きれませ‥」
「大丈夫、お姫様抱っこでベッドに連れて行くよ」
「…恥ずかし、で‥す」
「そんなこと言ってもだーめっ、ほら、体起こして」
抱き起こそうとしたけれど、腕にしがみついた春歌は力なく嫌々。ギュッと握り締められた服の裾。
だめ、ギブアップ…
「わかった、わかったよハニー。このままでいいから、でもこうやって…」
控えめに捲られた炬燵布団。隙間から入り込んだ外気に春歌は身震いしたが、それを打ち消す大好きな抱擁…
「大人しく抱き締められて、腕枕されて寝るのが条件」
「だ…りん//」
「ハニーを抱き締めながらの炬燵っていいね…、一緒に昼寝しちゃおっかなぁ」
「一緒に、お昼寝…」
「それともここから引き摺り出そうか?」
覗き込まれて身動きが取れず。少しでも動けば間違いなく唇と唇が触れるそんな至近距離。口をぱくぱく、呆けていたら上唇をぱくりと食まれてちゅうと吸われ、綺麗なリップ音を残して離れて…声を出そうとすれば華麗なタイミングで今度は下唇。
「ん、ん‥ぅ、っ…はふ///」
「…、言うこと聞く?いい子にする?」
「聞き‥ます、し…ます」
「いいよ、ここでお昼寝だ。そうだね…昼過ぎまでかな。起きたらどこかランチに行こうか」
「ん、」
返事をする前に甘い甘いキス。
最初から答えを聞くつもりがないこと位分かっているけれど、春歌は整い切れない呼吸をそのままに、塞ぎ慣れた唇を自らを塞いだのだった
fine.